夫婦が別居をしている場合、生活費(婚姻費用)は、双方の現在の収入のみで算定します。預金など保有している資産は、考慮に入れません。
Lさんのご相談
先月、妻と大げんかをしたら、翌朝、妻が子ども2人を連れて出ていきました。妻はそのとき、結婚後に貯めた預金(約100万円)も持ち出していました。その後、妻は私に生活費を請求してきました。私の給料は手取り30万円、妻はパートで7万円くらいです。妻が勝手に出て行っているし、預金も持っているのだから、生活費を払いたくないのですが。
別居夫婦の生活費分担は、原則として、現在の収入だけで決められる。
夫婦は、生活費を収入に応じて分担するというのが原則です。収入の高い方の配偶者が、生活費を分担しなかった場合や、分担額で合意できなかった場合、一方配偶者は、婚姻費用分担請求調停(こんいんひようぶんたんせいきゅうちょうてい)を家庭裁判所に申し立てることができます。その場合、原則として双方の現在の収入だけ(直近の給与明細など)から算定します。生活費は、日々の生活に関わることがらで、スピードが要求されるからです。
持ち出した預金は、離婚の際の財産分与の問題
では、持ち出した預金は、どこで問題にするかというと、離婚をする際の財産分与の場面です。財産分与の対象となる財産がこの預金100万円のみだった場合、原則として、50万円ずつとなります。Lさんと妻との間で、離婚の話し合いが始まっていても、離婚成立までは日々、婚姻費用分担の義務が発生します。Lさんが妻に支払うべき婚姻費用の額が月額10万円だったとします。3か月後に離婚が成立した場合、Lさんが毎月月額10万円の生活費を妻に支払っていれば、妻は、50万円をLさんに返還する計算になります。なお、例外的に預金の持ち出しがあった場合に、婚姻費用の分担義務を認めなかった審判例もあります。義務者の年収の1.5倍を超える預金の持ち出しがあった事情などが考慮されているようです。
明るい将来のために
「オーダーメイドの解決策」を。
弁護士:中村伸子は、女性ならではの視点と丁寧な対応で、依頼人様ごとの解決策を一緒に考えていきます。
お問合せはこちらからメール、電話、LINEでのお問合せが可能です。LINEは広告としてこちらから送信することはありません。