財産分与の対象となるのは、夫婦で婚姻中にその協力によって取得した財産(夫婦共有財産)ですから、交通事故の賠償金のうち、慰謝料の額は、除外されるのが、原則です。
Cさんのご相談
「妻とは、性格の不一致で、喧嘩が絶えず、先月から、別居しています。協議離婚をすることになりました。妻は財産分与として、生活口座として使っていた私名義の預金口座にあるお金を折半することを主張しています。ところで、私は半年前に交通事故に遭い、損保会社から賠償金が、別居直前に入金されていました。この賠償金も、全額財産分与の対象になるのでしょうか。私は、この交通事故で骨折して、数か月通院しましたが、後遺症はありません。」
財産分与の対象となるのは、夫婦が、その協力によって取得した財産
離婚の際に、財産分与の対象となるのは、夫婦で婚姻中、その協力によって取得した財産です。名義がどちらにあるかとか、どちらの収入から出したとかは、関係ありません。そして、その基準となる時期は、別居の時とするのが原則です。Cさんのご家庭で、Cさん名義の口座に、給料が振り込まれ、そこから家賃や水道光熱費が落ちる形で使用されていたのであれば、別居の時の残金を財産分与として、折半することとなります。
交通事故の賠償金のうち、傷害の慰謝料は、特有財産として財産分与の対象とならない。
交通事故でけがをしたことによる慰謝料は、けがをしたCさんが被った精神的苦痛を慰謝するためのもので、Cさん固有の財産です。夫婦の協力によって取得した財産とは言えません。したがって、この部分は財産分与の対象とならない、とするのが、裁判所の考え方です。
保険会社から、賠償金の明細が届いていると思いますので、慰謝料については、財産分与の対象から除外してよいこととなります。なお、慰謝料以外の賠償金(休業損害、逸失利益など)については、別の考え方があります。
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