別居期間中の生活費は、義務者に対し、明確に請求した時からとするのが、現在の家庭裁判所の実務。
Lさんのご相談
「先月、妻と大げんかをしたら、翌朝、妻が2歳と4歳の子ども2人を連れて実家に戻ってしまいました。私は、妻が戻ってくるだろうと思い、4DKの借家で待っていました。もともと貯金もなかったし、家賃も高いし、外食やクリーニング代もかさみ、給料は全然残りません。妻は生活費を特に請求してこないし、妻の実家の父は手広く事業をやっていて裕福そうですので、生活に困ってはいないだろうと、私も支払いませんでした。半年後、妻は家庭裁判所に別居の時に遡って生活費を支払えという調停を申し立ててきました。」
生活費(婚姻費用)分担の調停申立の日とする場合が一般的
夫婦は、生活費を収入に応じて分担するというのが原則です。別居中、収入の高い方の配偶者が生活費を分担しなかった場合や、分担額などで合意できなかった場合、一方配偶者は、生活費を請求する調停を家庭裁判所に申し立てることができます。
いつから支払う義務があるかについての合意ができないときは、明確に請求した時とするのが現在の実務となっています。多くの場合は、調停申立の日になります。支払い義務が発生する時期をさかのぼらせてしまうと、支払い義務者に予想外の過大な負担をおわせてしまうからというのがその理由です。
たとえば、この事案でLさんが会社員で年収340万、妻が専業主婦だったとすると、婚姻費用は月額7万円となります。半年分だと42万円を支払わねばならなくなってしまいます。
内容証明郵便などで請求したことを明確にしておく方法もあります。
調停申立のほかに、内容証明郵便などで、生活費を請求したことを明確にするという方法をとることもあります。また、支払い義務者が、支払う義務があることを認めていたことが証明できれば良いと言える場合もあります。
「請求した時」を支払い義務の始期とする根拠が、支払い義務者に予想外の過大な負担を負わせてしまうのを避けるためということであれば、予測可能な状況にあればよいことになるからです。
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