養育費を少なくするために仕事を辞めた元夫

POINT!!

養育費は、原則として、双方の現実の収入をもとにして算定します。ただ、義務者が、あえて低い収入に甘んじている場合には、潜在的な稼働能力をもとに算定することがあります。

婚姻費用分担のイメージ
Mさんのご相談

離婚した元夫R(45歳)は、離婚直後に、それまで勤めていた会社を自主退職し、Rの実兄が経営する会社に転職してしまいました。私が養育費を請求したところ、Rは給与明細を出してきて、給料が前の会社の5分の1に減ったとして、養育費は月額1万円しか払えないと言い張ります。こんな主張が通るのでしょうか。

養育費は、双方の現実の収入をもとに算定

原則として、養育費は、現時点での双方の現実の収入をもとに算定します。家庭裁判所の調停などでは、資料として、源泉徴収票や給与明細などを参考にします。Mさんのパート収入が年間120万円、R氏の元の会社に勤務していた時の年収が600万円で、10歳のお子様が1人いたとします。裁判所が公表している算定表にあてはめると、R氏が支払うべき養育費は、6ないし8万円となります。R氏の収入が5分の1になったとして、算定表をそのままあてはめると、たしかに1万円程度になってしまいます。Mさんとしては、不公平と感じられることでしょう。

潜在的稼働能力という考え方

Mさんの事例では、義務者R氏は働き盛りなのに収入が著しく低い会社に転職したこと、転職先はR氏の実兄が経営する会社であり、収入に影響を与えうる立場にあることから、急に低い収入になったことに合理的な理由がない可能性も高いでしょう。ただ、R氏は、前の会社を退職していますので、前の給料のままでの算定が合理的とまでは言えないと思います。類似の事例で、裁判所は、潜在的稼働能力という考え方で、不公平を是正しています。あえて低い収入に甘んじている場合には、現実の収入ではなく、義務者の年齢、学歴、資格などの潜在的稼働能力から収入を算定し、そのうえで、養育費を算定するのです。

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